SPI REPORT
現在のTVスポットの取引は、世帯視聴率をベースに行なわれています。しかし、広告主がコミュニケーションを行なう対象は通常「世帯」ではなく「ターゲット」です。現在のTVにおけるターゲット視聴率は性年齢区分のみであり、ターゲットの価値観やライフスタイル、視聴時の態度などは加味されていません。つまり、現在の視聴率調査制度では、ターゲット視聴率1%は下記のようなケースにおいて同じ価値として扱われています。
1. 保守的な人が見ているターゲット視聴率1%と革新的な人が見ているターゲット視聴率1%
2. 雑誌を読みながらのターゲット視聴率1%と集中して見ているターゲット視聴率1%
3. チャンネルを変えながらのターゲット視聴率1%と変えないままでのターゲット視聴率1%
また、インターネットや携帯電話などの新しいメディアの普及により、同じ1%の価値にますます差が生じてきていることが考えられます。
このような背景から、視聴率1%の本当の価値すなわち視聴質に関する論議がさらに活発化してまいりました。
今回のケースはこの視聴質の問題を分析し、価値のあるターゲット視聴率を明らかにしようとしたものです。具体的には、ターゲットごとに本当に価値のある時間帯はどこなのか。そして、その時間帯にスポットを集中することで、これまでよりもどれだけ価値が高まるのかを明らかにしてまいります。
ご存知の通り一般的なテレビ視聴に関する調査データは限られています(ビデオリサーチ社のINEXなど)、しかしながら、一般的な調査データを幾つか組み合わせることによって、理解しやすい視聴質指標を開発することができます。
今回のケースでは、広告効果に影響を与えると考えられる下記3つのデータを基に、エスピーアイが開発した視聴質指標をご紹介します。
1. 視聴傾向(性年齢に加え価値観・ライフスタイルなどを加味した視聴率)
2. 視聴態度(専念視聴など)
3. 視聴程度(視聴時間の長さの程度)
この指標を基に時間帯毎の価値を明らかにし、効率的且つ効果的なスポット露出ゾーンの設定を行いました。また、どの程度のバリューアップが見込めるのかをシミュレーションにより想定しました。
ターゲットや露出ゾーンの使い方によっても異なりますが、今回のブランドの場合では、適切なゾーンでターゲットへコミュニケーションすることにより、質を加味したターゲット視聴率が5%-35%程度上することが確認されました。今回想定したバリューアップがどの程度売上げに貢献しているかは引続き検証を行なってまいりたいと考えています。
シミュレーション結果サンプル例
文責:エスピーアイ
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