SPI REPORT
前回は基礎編として、番組平均視聴率と時点視聴率の違い、購入GRPの推定方法や号数についてご説明を致しました。
二回目の今回は応用編として、購入したGRP量と実際に獲得したGRP量(時点視聴率基準)との誤差について、その発生理由を解説していきます。
ご存知の通り、テレビ番組の時間枠はスポーツ番組の延長や緊急のニュース番組等の挿入によって、予期せず崩れてしまう事があります。結果として、予定されていた時間通りにはスポットが露出されず、遅れて、もしくは別のスポットに移動して露出される事があります。(上記以外の理由で移動が生じるケースもあります。)
前回解説したように、スポットを購入する際に使用する視聴率は、費用を見積る時点で予定されている時間枠を基準としています。つまり、スポットの露出する時間枠が変更になった時点で、その枠に与えられた推定値(≒費用)が、厳密には意味を成さないものとなります。しかし、移動が生じたからと言って、それらの推定値が修正されることはありません。
もちろん、購入時よりも効率の良いスポットに移動され、結果としてプラスになるというケースもありますが、いずれにせよ、スポット達成率の変動に対する大きな要因の一つと言えます。
このケースも移動スポットの一種と言えます。CMタイプの変更とは、同じ時間枠のPTからSBへの変更、もしくはそれとは逆にSBからPTへの変更を指しています。(エスピーアイの経験上、前者に比べると後者のケースは稀です。)
次の例をご覧下さい。
時間帯や曜日、放送局によって違いがあるため一概には言えませんが、同じ番組枠であれば、PTよりもSBの視聴率のほうが低下しやすい傾向にあります。また、PTにはPT、SBにはSB独自の推定視聴率が用意されているため、SBでの露出であれば、そもそもPTの推定値で購入する必要は無かったことになります。
露出した番組枠に変更が無いため、軽視しがちなポイントですが、経験上、達成率低下の要因として目立つケースがたびたび見受けられます。
こちらは、スポーツ番組の延長や緊急特番などのような“予期せぬ”時間枠変更ではなく、スケジュール段階から既に明らかになっているものを指します。
この場合の変更とは、指定された号数週の時間枠と比較して、予定されている時間枠が存在していない事を意味しています。
視聴率の推定には、号数というものが利用され、PT、SBそれぞれに対して推定値が存在する事は、既述致しました。しかし、これらはあくまでも予定されている時間枠が、号数週においても存在している事を前提としております。それでは、号数週にその時間枠が無い場合はどのように推定値を算出しているのでしょうか。
この場合、大きく分けて二つのパターンに分かれます。次の図をご覧下さい。
続いてもう一方のパターンです。
この例の場合、
19:00-20:00 (PT)、20:00 (SB)、20:00-20:54 (PT)、20:54 (SB)、
20:54-21:00 (PT)、21:00 (SB)、21:00-22:00 (PT)
以上7つのゾーン全てが同じ推定値になります。実際に獲得するGRPは7つのゾーンによって大きく異なる事が容易に想定されます。
後者のパターンは、達成率低下の主要な要因として挙げられるケースが頻繁にあります。
技術的な観点から言えば、「番組改編などによる時間枠の変更」はスケジュール枠の作案時に全て検出する事ができます。スポット挿入枠の変更が可能であれば、大きな損失が見込まれるスポット枠などを予め回避する事も可能です。
次回は、応用編の後編として、さらに達成率の変動理由を詳細に分解して解説をし、最後に達成率の低下に対する予防策をご説明する予定です。
文責:エスピーアイ
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