SPI REPORT
複数ブランドにおいてTVキャンペーンを展開しているクライアントから、「いつも自社ブランドの過去の結果を参考にして来年度のプランを作っているが、そもそもこの商品カテゴリーでは、どのくらい年間GRPを打つ必要があるのか、効果的なフライトパターンはどういうものなのか。商品カテゴリーに共通する成功要素を押さえた理想的な出稿プランが知りたい」というご依頼をいただきました。今回はこのニーズに応えるために行いました、商品カテゴリー全体を俯瞰して、助成CM認知率を高める最適TVCM出稿プラン提案を行ったケーススタディをご紹介します。
目標CM認知率を獲得する年間出稿条件
商品カテゴリー内で高い助成CM認知率を獲得しているブランドの共通点を特定するために、まず各ブランドの認知率の特徴を把握しました。ブランド別認知率の時系列推移を確認したところ、以下のように認知率が高いブランドは常に高く、低いブランドは常に低い傾向があることが判明しました。(以下はイメージデータ)
なぜ上記のように、高い認知率を獲得できるブランドは常に高い水準を獲得できるのでしょうか。GRPの投入パターン等を比較・検証したところ、以下4要素が高い認知率を獲得するブランドの共通点であることがわかりました。(以下はイメージデータ)
例えば、Brand Aは、ロングセラー商品で、かつ最近でも継続してGRPを打っているため認知率が高いブランド、Brand Bは、年間GRP量をたくさん投下しているが短期間に集中投下しているので認知率が上がりにくいブランド、Brand Cは、年間GRP量をたくさん投下しているが、最近ローンチされたばかりの新商品なので認知率がまだ低いブランドであることがわかります。
目標CM認知率を獲得するキャンペーン出稿条件
次に、年間出稿条件から、各キャンペーンの出稿条件に分析対象を移します。
この商品カテゴリーにおいては、1キャンペーン当りどのくらいのボリュームで、どのフライトパターンを使えば、最も認知率を上昇させることができるのでしょうか。この検証に関しては以前ご案内した「フライトパターン特定分析」を用いました。その結果判明した「目標認知率を獲得するキャンペーン出稿条件」をまとめてみると、以下のような条件になりました。
最適出稿プランの提案
以上の5条件と、来年度のマーケティングプランからTVキャンペーンが必要な時期を判断し、「目標認知率を獲得する年間TVCM出稿プラン」に落とし込みました。今回は、条件2の「キャンペーン期間ではない時期にもCMを流す」ことをしつつ、限られた予算をなるべく効率的に活用するために、番組CMを組み込んだ出稿プランのご提案をいたしました。(以下はアウトプットイメージ)
まとめ
今回は商品カテゴリー内での全ブランドを検証することで、高い助成CM認知率獲得に必要な条件を導き出し、その条件に従った最適メディアプランを作成・ご提案しました。
実際の分析では複数の商品カテゴリーが分析対象でしたが、やはりカテゴリーによってGRP量、フライトパターン、認知率に対するGRPの貢献度も異なっていましたので、ご提案した最適プランもカテゴリーごとに違いました。また今回は「高い助成CM認知率の獲得」を目的としたプラン提案でしたが、「非助成CM認知率の獲得」「ブランド認知率の獲得」を目的とした場合は、また提案内容が変わってくることでしょう。それぞれのケースに応じたプランを作成することで、同じ予算内でより高い効果を得ることが可能となります。
文責:太田 雅美 / シニアアナリスト
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