SPI REPORT

商品カテゴリー全体の傾向を考慮したTVCM出稿プラン

複数ブランドにおいてTVキャンペーンを展開しているクライアントから、「いつも自社ブランドの過去の結果を参考にして来年度のプランを作っているが、そもそもこの商品カテゴリーでは、どのくらい年間GRPを打つ必要があるのか、効果的なフライトパターンはどういうものなのか。商品カテゴリーに共通する成功要素を押さえた理想的な出稿プランが知りたい」というご依頼をいただきました。今回はこのニーズに応えるために行いました、商品カテゴリー全体を俯瞰して、助成CM認知率を高める最適TVCM出稿プラン提案を行ったケーススタディをご紹介します。

目標CM認知率を獲得する年間出稿条件

商品カテゴリー内で高い助成CM認知率を獲得しているブランドの共通点を特定するために、まず各ブランドの認知率の特徴を把握しました。ブランド別認知率の時系列推移を確認したところ、以下のように認知率が高いブランドは常に高く、低いブランドは常に低い傾向があることが判明しました。(以下はイメージデータ)
 

20071031_a.PNG

なぜ上記のように、高い認知率を獲得できるブランドは常に高い水準を獲得できるのでしょうか。GRPの投入パターン等を比較・検証したところ、以下4要素が高い認知率を獲得するブランドの共通点であることがわかりました。(以下はイメージデータ)

 

20071031_b.PNG
例えば、Brand Aは、ロングセラー商品で、かつ最近でも継続してGRPを打っているため認知率が高いブランド、Brand Bは、年間GRP量をたくさん投下しているが短期間に集中投下しているので認知率が上がりにくいブランド、Brand Cは、年間GRP量をたくさん投下しているが、最近ローンチされたばかりの新商品なので認知率がまだ低いブランドであることがわかります。
さらにこれら散布図上の回帰モデルから、「この商品カテゴリーにおいて目標認知率○○%を獲得するためには、年間○○GRP以上が必要で、年間○○週以上出稿すると良い」などという、プラン作成にあたって目安となる基準が得られます。
4要素のうち発売後年数とクリエイティブの要素は所与のものとすると、まずここまでの分析において、「目標認知率を獲得する年間出稿条件」として以下の2条件があげられました。

  1. 年間GRP量は○○以上
  2. (キャンペーン期間ではない時期も含め)年間○○週以上はCMを流す

目標CM認知率を獲得するキャンペーン出稿条件

次に、年間出稿条件から、各キャンペーンの出稿条件に分析対象を移します。
この商品カテゴリーにおいては、1キャンペーン当りどのくらいのボリュームで、どのフライトパターンを使えば、最も認知率を上昇させることができるのでしょうか。この検証に関しては以前ご案内した「フライトパターン特定分析」を用いました。その結果判明した「目標認知率を獲得するキャンペーン出稿条件」をまとめてみると、以下のような条件になりました。

  1. キャンペーン期間GRP量は○○GRP以上
  2. キャンペーン期間は○ - ○週間
  3. キャンペーンのフライトパターンは○○型

最適出稿プランの提案

以上の5条件と、来年度のマーケティングプランからTVキャンペーンが必要な時期を判断し、「目標認知率を獲得する年間TVCM出稿プラン」に落とし込みました。今回は、条件2の「キャンペーン期間ではない時期にもCMを流す」ことをしつつ、限られた予算をなるべく効率的に活用するために、番組CMを組み込んだ出稿プランのご提案をいたしました。(以下はアウトプットイメージ)
 

20071031_c.PNG
上記はあくまで「目標認知率を獲得するための理想プラン」であって、さらにその効果をなるべく失わないようにコストを予算内に抑えた「決められた予算内における現実プラン」も提案しました。

まとめ

今回は商品カテゴリー内での全ブランドを検証することで、高い助成CM認知率獲得に必要な条件を導き出し、その条件に従った最適メディアプランを作成・ご提案しました。
実際の分析では複数の商品カテゴリーが分析対象でしたが、やはりカテゴリーによってGRP量、フライトパターン、認知率に対するGRPの貢献度も異なっていましたので、ご提案した最適プランもカテゴリーごとに違いました。また今回は「高い助成CM認知率の獲得」を目的としたプラン提案でしたが、「非助成CM認知率の獲得」「ブランド認知率の獲得」を目的とした場合は、また提案内容が変わってくることでしょう。それぞれのケースに応じたプランを作成することで、同じ予算内でより高い効果を得ることが可能となります。


文責:太田 雅美 / シニアアナリスト

より詳細な情報をお求めの方は、spiindex@spi-consultants.netまでご連絡下さい。

<本レポートの引用・転載・使用に関する注意事項>

  • 掲載レポートは当社の著作物であり、著作権法により保護されております。 本リリースの引用・転載時には、必ず当社クレジットを明記いただけますようお願い申し上げます。
    (例:株式会社エスピーアイの分析によると…)
  • 記載情報については、弊社による現時点での分析結果・意見であり、こちらを参考にしてのいかなる活動に関しても法的責任を負う事はできません。
一覧ページへ戻る