SPI REPORT

メディアの価値とは

毎日新聞PR誌「SPACE」
広告効果の視点 (2)「メディアの価値とは」
小泉 秀昭

「テレビ広告と新聞広告はどちらが安いのですか」と広告主の方に聞かれることがあります。お答えするのに困り、一言ではお答えできませんと申し上げています。そうするとCPMではどうですかと聞かれます。確かに広告の価値を表す単位として良くCPT(Cost per thousand)という指標が使われます。1000人あたりの到達費用のことです。頭文字をとるならCPTのはずですが、ラテン語のMillの頭文字をとってCPMとなっています。この指標、一見すると大変便利なものです。例えば、日本ABC協会の発売部数と日本広告業協会発行の新聞広告料金表を基に計算すれば、CPMは簡単に算出ができます。CPMは、広告コストを販売部数で割り、その数に1000人を掛けた値になります。CPMの値が低いほど1000人あたりの到達費用が安いということになります。

新聞、テレビなど多媒体との比較となると少し複雑です。図1は代表的なメディアのある特定の銘柄媒体のCPMをビデオリサーチが行っているACR調査を基にして作成したものです。一般的にテレビ番組のCPMはスポットCMより安く、また雑誌や新聞の方が高くなるということがある程度ご理解いただけると思います。ただし、本当にCPMの低い新聞の方が安い、あるいはテレビより新聞の方が安いといえるのでしょうか。そこで考えなければいけないのがターゲットの問題です。図2にあるように同じ銘柄媒体であってもターゲットによりCPMは大きく異なります。例えばFMラジオでは若者よりもお年寄りのCPMの方がはるかに高くなったりもします。したがって広告の価値をメディアごとに比較するのであればまずターゲットごとに行う必要があります。幸いなことにACRという調査は年一回の調査ですが、性年齢といった人口統計的なデータから各メディアの接触状況、また2000以上にもわたる商品の使用状況も調査しています。したがって、自社ブランドの現ユーザーが実際どの程度特定の銘柄媒体、たとえば毎日新聞を読んでいるかを調べることができます。そのことにより、特定の銘柄媒体同士の比較はある程度は可能となります。

ターゲットごとに比較することはある程度可能と述べました。しかしそれだけでの分析で広告の価値を判断するのに十分でしょうか。言い換えれば接触だけの分析で十分だろうかということです。その問題については次号で詳しくお話をしたいと思います。

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